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Honey・Apple

一次創作メインのイラスト・小説ブログ。(現在企画始動中) 小説の感想等、お気軽にコメントください^^

2012.01.04 Wed 12:47
 【追想アリス】の交流小説となります(*´∇`*)
 まめた様宅のライナ=フローレンさんお借りしました!
 若干ではありますがこちらの流れも少し含んでおります。
 レテリオールの町やギルド、魔物討伐の補足のようなものも兼ねています。
 ギルドについてはもう少し詳しいものを後日掲載する予定です。

 それでは追記より『白の町』
web拍手
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 天気のよい昼過ぎのこと、日の光に照らされた白い家々が美しく輝いている。
 ここレテリオールはチャトランガの南に位置する温暖な都市である。森から平野へと続く斜面に立地されたこの都市の建物は、強い日差しを少しでも和らげるためにと壁を白く塗られたものが多い。そうした町の情景はまるでまっさらなキャンバスのようで。今日は雲一つない晴天だからきっと夕日がよく映えて綺麗だろうと、リンドは坂道の途中で後ろを振り返りながらそう思うのだった。
 広い通りの方から市場で客引きをする声が聞こえてくる。色とりどりの野菜や果物が並んでいるのを思い浮かべて、ちょっと寄っていこうかとそのまま大通りに抜けた。
 賑わう市場に心も弾む。いらっしゃいいらっしゃいと大きな声を張り上げるおばさんにお目当ての果物を指差し銀貨を一枚渡すと、紙袋いっぱいに赤い実のフルーツを渡された。
 「こんなにたくさん…!いいんですか?」
 「おまけだよ、持っていきな!」
 活気づいたこの市場ではこういったやりとりはよく見られることだった。それでもやはり感謝の気持ちはきちんと伝えなければとリンドは口を開くが、おばさんはまた大きな声で客引きを始めてしまったので他のお客さんの邪魔になってはいけないとそっとその場を後にした。
 今日は天気が良いためかいつもより人通りが多いようだ。リンドは紙袋をしっかり抱え直してから人ごみの合間を縫って脇の細い道へと入った。
 レテリオールは古くからある町で、整備された大通り以外はこうした入りくんだ細道がたくさん残っている。建物はみんな白く似通った形だからまるで迷路のようだ。
 リンドは一息つくと、顔を上げある一点を仰ぎ見た。坂の上、家々の間から覗く白い塔。それは言わずもがなレテリオールのシンボルである。森から平野にかわるその場所に、町を見下ろす形で白い塔と国家の城がそびえ立っている。そしてその横に我らがチェスのギルドが隣接しているのだ。そう、つまり、いくら迷路のような道でもゴールは明確なわけで。リンドは一度も迷子になったことはないのであった。

 ギルドには本館と別館があり、本館は本部、別館は宿泊施設のみとなっている。道に面している本館の扉を開けると、そこには広い玄関ホールが広がっていた。正面にある中央階段は途中で左右に分かれそれぞれ二階に続いている。
 「よぉリンド、お帰りかい?今日はずいぶんと重そうな荷物じゃないか」
 ホールの左手、娯楽施設に続く扉の前にいた男がリンドに声をかけた。娯楽施設にはちょっとしたバーが入っており、他にもダーツやビリヤード、トランプやチェスなどができるようになっている。
 「あぁ、市場で気前のいいおばさんがまけてくれたんだ」
 「そりゃあよかったな。マリーも喜ぶだろうよ」
 リンドはその言葉に頷くと、反対側の右の扉に向かう。その扉の横には魔物討伐の依頼や連絡を貼りつけてある掲示板があり、数人がその前で貼り紙をチェックしていた。どうやら依頼が来ているようだ。リンドも後で確認しようと思いながら、その横を通り過ぎて扉を開けた。こちらは食堂だ。入って右手のカウンターから厨房を覗くと一人の背の低いおばあさんがせっせと棚を整理しているところだった。
 「マリーおばさん、ただいま」
 「おやおや、おかえりなさい。まぁ!また買ってきてくれたのかいリンド?」
 意気揚々とリンドから紙袋を受け取るマリーおばさん。彼女はこのギルドで働いている唯一の従業員で、掃除から洗濯、料理まで全て一人こなす、いわばみんなのお母さんのような人だ。リンドはそんなマリーおばさんに日頃の感謝を込めて、よく今日のように彼女の大好物である果物を買ってくる。
 「それにしても、ねぇリンド。せっかく自分で稼いだ報酬金でしょうに、もっと自分のために使った方がいいんじゃないのかい?えぇ、えぇ、もちろんこの老いぼれのために買ってきてくれるのは嬉しいですけどねぇ」
 マリーおばさんは受け取った紙袋を片付けたばかりの棚に入れながらそう言った。リンドは少し困ったような笑みを浮かべ、洋服代くらいにしか使わないのでと曖昧に返事をしてマリーおばさんの背中をじっと見つめていた。

 本当は報酬金などどうでもよいのだ。アリスは元々別の世界から来たよそ者でしかない。魔物を浄化することでしか自分の存在意義を確認できないのだ。それが、リンドの考えだった。
 マリーおばさんもギルドの仲間も町の人たちだってみんな優しくしてくれる。でもそれはアリスが魔物を消滅させられる唯一の存在だからじゃないのだろうか。時折そんな風に不安になっては、自分は何を考えているのだと自己嫌悪に陥る。だけど優しくしてくれるみんなに自分が救われているのは確かなことで、リンドはこうしてマリーおばさんや仲間たちの笑顔を見ることが何より好きなのだった。

 食堂を出ると先ほど掲示板の前にいた人たちがいなくなっていた。きっと討伐に出たのだろう。掲示板にはまだ数枚貼り紙が残っている。
 「level.1が3体、エリア〈f3〉か」
 もう午後なのであまり遠出するのはまずいと、比較的レテリオールから近い場所を選ぶ。あとはパーティーメンバーだ。誰かいないだろうかと見渡してみると、ちょうど中庭でお茶をしている人がいるようだった。中庭は本館と別館の間にあり、中央にはガーデンテーブルとチェアーが置いてある。リンドは芝生に敷かれたレンガの小道からそれらに近付いて声をかけた。
 「こんにちは、ライナさん。今日はお一人でお茶会ですか?」
 「おや、こんにちはリンド。えぇ、今日は美味しいハーブティーが手に入ったものですから。…しかし残念ですね、ちょうど飲み終わったところなんですよ」
 そう言うと彼は艶やかな緑の髪を耳にかけティーカップを片付け始めた。ライナは齡180になるドラゴンで、よくアリスとお茶会をしている姿が見かけられる。リンドも以前一緒にお茶をしたことがあった。年相応の柔らかな物腰に、落ち着いた話し方でとても好感が持てる男性だ。以前と変わりないその態度にリンドも肩の力を抜く。
 「いや。今日は討伐のお誘いに来たんだ、構わないだろうか?」
 「討伐…ですか。あぁ、いやね、つい先日上から早く行くようにせっつかれたものですから。そろそろ行かねばと思っていた頃なんです」
 ライナは片付けたティーセットを持って立ち上がり、そう言ってリンドに向かって微笑んだ。
 「ありがとう、助かるよ」
 ほのかなハーブの残り香に鼻をくすぐられながら、リンドも同じように微笑み返す。以前の楽しかったお茶会に思いを馳せ、討伐から帰ってきたらぜひまたお茶のお誘いをしようとひそかに心に決めるのだった。

*

 レテリオールを出て森に入ると、幾分か日の光が遮られ涼しく感じた。レテリオールからガノシアまでを結ぶ道はそれなりに広くわかりやすいが、その他はほとんど道と呼べる道はない。リンドとライナは心細い獣道だけを頼りに目的のエリアへと向かった。
 「ここら辺ですかね…」
 ライナが地図と方位磁石を確認しながら辺りを見渡す。少しばかり胸がざわつくのは、邪気が近いからだろうか。
 「ライナさん、あそこ!」
 突然大きな声をあげたリンドが指差す方向には、禍々しい邪気を漂わせるlevel.1が数十メートルほど離れた木の陰でゆらゆらと浮かんでいた。大きさは人の頭一つ分くらいの比較的小さなものだ。
 「リンドは下がっていなさい!」
 すぐさまライナがリンドの前に立ち、level.1目掛けて手のひらから炎の渦を放つ。しかし目標が小さいこともあってかなかなか当たらない。
 「ライナさん!風が西から吹いてる、風下を狙うんだ!」
 リンドの指示にハッと気付いたライナは、一呼吸置いてからもう一度狙いを定め炎を放った。ごうと音をあげる炎が今度こそlevel.1をとらえる。攻撃を受けたlevel.1は、炎に焼かれながら徐々に形を失い、最後は邪気だけが霧状となって残った。
 「さっきはありがとうございました。さ、後はお願いしますよ」
 「はい」
 それを見届けたリンドが腰から自分のチェッカーである日記帳を取りだし、開く。
 「チェックメイト!」
 その掛け声とともにチェッカーを邪気へ向ければ、たちまち黒い霧がそれへと吸い込まれていった。
 ふぅ、と短く息を吐く。
 一段落ついたと思われた、その時。

 「リンド!!」

 そうライナが叫ぶのと、リンドがぞわりと背筋を凍らせたのはほぼ同時だった。
 「…っ!」
 反射的に後ろを振り返ると、リンドの背丈を上回る大きさのlevel.1が2体、すぐ後ろまで迫っていた。アリスは邪気に触れても自分で浄化できるが、かなりの体力を消費するうえにひどく気分が悪くなってしまう。一瞬の思考停止が命取りになることだってあるのだ。
 「リンド!伏せなさい!」
 ライナの声に、リンドは急いで横へ飛び退き地面に伏せる。次の瞬間にはライナの強烈な炎が2体のlevel.1を覆っていた。さすがに肥大化しただけあって、炎に包まれてもなかなか倒れない。
 「しつこいですね、これがとどめですよ」
 ライナが静かにそう言って両手のひらから火の玉を投げつけると、ボッと音を立ててとうとう魔物が燃え尽きた。後はリンドが体勢を立て直し、それらを"チェック"する。霧状の邪気が全てなくなりリンドがパタンと日記帳を閉じると、ライナがガクリと膝を落とした。
 「ライナさん!」
 すぐにリンドが駆け寄りライナの体を支える。
 「すみません、年寄りが少々無理をしてしまいました…情けないですね」
 そう力なく笑うライナに、リンドが首を振る。
 「いえ、ワタシが注意を怠ったばっかりに…ごめんなさい。ライナさんのおかげで助かりました」


 その後はライナがしっぽと翼があるから大丈夫だと自力で立ち上がり、ゆっくりと帰路へついた。
 森を抜ける頃には日が傾き始めていて、壮大な景色が二人を迎え入れる。
 「うわぁ…!ライナさん、夕日が綺麗だよ」
 「これはこれは…なんとも美しい景色ですね。身も心も癒されるようです」
 レテリオールは真っ赤な夕日に照らされ綺麗なオレンジ色に染まっていた。それはまるで無事に帰還した二人を優しく包み込むようで。それからゆっくりと日は沈んでいき、やがてレテリオールの町を夜の静寂へと誘っていった。その様子を石段に座って最後まで見届けた二人は、のっそりと腰を上げ歩き始める。

 「ライナさん」

 「なんです、リンド」

 「今度は一緒にお茶会をしよう」

 「えぇ」

 「他のみんなも誘って、ライナさんが淹れてくれる紅茶を飲んで、美味しいお茶菓子も用意しよう」

 「えぇ」

 「それからみんなでたくさん笑い合いながら、日が暮れるまでいっぱいおしゃべりをしよう。…それで、みんなでまたこの夕日を見るんだ」

 「えぇ、そうですね。きっと楽しいお茶会になりますよ」


 end.
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From:  2012.01.04. Wed 13:15 [Edit]
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