Honey・Apple

一次創作メインのイラスト・小説ブログ。(現在企画始動中) 小説の感想等、お気軽にコメントください^^

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2013.11.11 Mon 23:34
 先日に引き続いて、アドヴィンとブラッシュさんです。
 勝手にブラッシュさん視点の描写連発してますすみません;;


 ※流血注意
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 彼が流した涙に、俺は強くなることを誓った。
 誰よりも不利なハンデを背負った彼は、誰よりも強い仮面を被ってその脆い心を守り続けてた。
 気付かなかった。
 初めて見た彼の涙、ほんの一欠片だけ剥がれたその仮面を見て、彼が素になれる居場所になりたいと思った。
 誰よりも強い彼が誰よりも弱くなるその瞬間を、そばで見守っていたい。
 彼が安心できるくらい、強くなりたい。

 *

 例の一件以来、アドヴィンは異常なくらいに訓練に励んでいた。
 それこそ疲労で倒れないか心配になるくらいに。
 原因が例の一件にあることくらい誰にでもわかっていた。
 しかし、アドヴィンの真意を知る者はいない。
 ましてや彼の担当上官が涙を流したことなど知る由もなかった。

 「ねぇアドヴィン、少し休もう」

 「いい。もう少しやってから行く」

 即答。
 唯一アドヴィンの真意を知り得る可能性のある人物。涙を流した、その本人。
 ブラッシュは心配していた。
 もしかして自分は彼の重荷になってしまったのだろうか、そんなことを悶々と考える。
 彼はまだ若い。
 これだけ訓練に没頭していれば、指導なしでもぐんぐんと成長するだろう。
 事実、彼はめまぐるしい成長を遂げていた。
 誰よりも早く、誰よりも強く。
 そんな意気込みが伝わってくるのだ。
 しかしその勢いが恐ろしくもあった。
 勢いが増した列車の脱輪を危惧するような、そんな心地。


 車輪はギシギシと、音を上げる。


 あくる日、新兵の初任務が言い渡された。
 ブラッシュとアドヴィンは別の二組と陣形を確認し、準備を整える。

 「ブラッシュ。俺の成長、見ててくれよな」

 そう言って笑顔を向けるアドヴィン。
 彼の笑顔を見るのは久々だった。
 任務前だというのに、思わず嬉しくなる。

 「あぁ、期待してるよ。でも無理だけはしないで」

 そう念押しをして、拳を合わせた。

 「「我らに栄光を!」」

 声高らかに叫び、任務開始の合図と同時に戦場へ飛び出していく。
 任務が始まってからは順調に作戦が進んでいた。
 自分の配置につき、仲間の位置を確認し、敵を迎え撃つ。
 陣形は布陣通り。
 しかし時も半ば頃、突撃命令が出た。
 相手の陣形が大きく崩れた隙をついて、大きく攻め込むつもりなのだろう。
 新兵には少々キツい。
 ブラッシュはアドヴィンを含めた新兵たちに待機を命じた。

 「そんな!俺も行く!」

 「だめ、新兵はここで待機だよ」

 反抗するアドヴィンに、もう一度命令を繰り返す。
 上官命令には逆らってはいけない。
 悔しそうに唇を噛み締める彼の、艶やかな緑色の髪をぽんぽんと二度軽く叩いて、ブラッシュは走り出した。
 統率のとれていない乱れた人垣の中を、敵をなぎ倒しながら突き進んでいく。
 目が見えなくても、大体の敵の位置は把握できる。
 慣れた感覚。
 ある程度食い込んだ敵陣の中で、ブラッシュは一息吐いた。
 風が髪の間をすり抜けて、戦場のピリピリとした空気を運んでくる。

 「ブラッシュ!!」

 その時、聞き慣れた声が響いた。
 同時にすぐ耳元で空気を切る音。

 「…っく」

 寸でのところで身をひるがえし、ブラッシュは地面に手をついた。
 近くで倒れていた敵が意識を戻し襲い掛かってきたのだ。
 すぐに体勢を整え剣を構える。

 「てめぇは倒れてろ!!」

 しかしそれを倒したのは駆け付けた彼だった。
 肩で息をする彼。

 「アドヴィンどうして!」

 「…俺は、お前と一緒に戦いたい」

 その真剣なまなざしに一瞬息が詰まる。
 瞬間、自分が涙を流した時の彼の言葉が蘇ってきた。

 「俺の、目に…」

 なってくれるの?

 そう言い切る前に、ブラッシュの目の前は真っ暗になった。
 見えなくてもわかる。
 アドヴィンの右胸に深々と刺さる一本の矢。
 崩れ落ちる彼の体を、瞬時に抱きとめた。

 「あ、れ…?ごめ、こんなはずじゃ…なかったんだけ、ど」

 口から噴き出る鮮紅色の血。
 赤い軍服をさらに赤く染め上げるそれに、彼を抱きかかえている腕が震える。

 「あ…、あ……」

 漏れ出る声はなんとも情けない。
 視界がにじんでますます見えなくなる。
 次の瞬間、声にならない声を上げてブラッシュは力の限り異能を解放した。
 回復の力だというのに、ブラッシュの異能は大気を震わせ空間を支配していた。
 矢を放った敵は恐れをなして逃げ去っていく。
 憎らしいが今はアドヴィンのことが先だと、抱きしめる腕に力がこもる。

 あぁ、どうして。

 2度目の涙は、傍にいることへの懺悔にこぼれた。

 *

 彼の流した涙に誓ったはずだった。
 強くなることを、彼の目になることを。
 だけど俺は、彼に2度目の涙を流させている。
 なんて情けない。
 俺が弱いばかりに。
 俺が彼を信じなかったばかりに。
 痛む右胸に意識を奪われながら、俺はもう一度誓う。

 彼を信じ、彼のすべてを受け止めて、自分のすべてを彼に預けることを。


 「ねぇ、ブラッシュ…俺、やっぱりお前の隣にいたい…」

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No title
うぎゃああああああああアドヴィンさん!!!そんな!!!!!そりゃブラッシュも必死になるわ!!!!!!!ほんともうほんと…!!34のおっさん相手にこんな色んなものを賭して戦ってくれるアドヴィンさんはほんともうイケメェン…ッ!!!!
ありがとうございましゅううううううえええええっ!!!!治す!!治すよぉ!!!!
From:ネオン URL 2013.11.12. Tue 00:07 [Edit]
コメント返信
ネオン様>
コメントありがとうございます!!
今回はブラッシュさん視点で勝手に書いている部分もあったのでちゃんとブラッシュさんの心情を彼らしく書けているか不安でしたが、とても喜んでもらえて安心しています^^///
突然のシリアス展開失礼しました…!
ブラッシュさんが本気出したら敵軍なんてチョチョイのチョイなんや!!
それでは、これからもよろしくお願いしますー!
From:舞香 URL 2013.11.18. Mon 01:02 [Edit]
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