Honey・Apple

一次創作メインのイラスト・小説ブログ。(現在企画始動中) 小説の感想等、お気軽にコメントください^^

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2013.11.17 Sun 22:13
 アドヴィンとブラッシュさんのお話。
 どんどん続いております(((*'ω'*)))

 今回からアドヴィンは実家編になります。
 前回あたりから時間軸がアドヴィンの新兵時代になっているので、なんとなく3年前くらいかなと。
 したがってアドヴィンが21歳、今回初登場の妹オルティラが11歳くらいかなーって感じです。

 ▽オルティラ(11歳当時)
 オルティラ
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 流れる風景をぼーっと眺め、赤く色づき始めた木々の葉に、秋も半ばまで深くなってきたのをなんとなく認識する。
 アドヴィンは一人汽車に揺られていた。
 ゆっくり外の景色を見るなんて随分と久々な気がする。
 やがてぼそぼそとした男性の声のアナンスが流れ、故郷である町の名前が読み上げられた。
 窓の外は依然として、山。
 しばらく走ったところで汽車はトンネルに入った。
 外が暗くなったことで窓に自分の姿が映る。
 幾分か疲れた顔の男が、いつもの赤い軍服ではなく、白いシャツに枯葉色のコートを羽織っていた。唯一いつもと変わらないのは、首に巻かれた茶色のスカーフだけだ。

 「はぁ…」

 吐いたため息が汽車の走行音に掻き消されていく。
 アドヴィンはつい先日のことを思い返していた。

 *

 初任務から帰還した三日後、アドヴィンは上層部に呼び出され一ヶ月の謹慎処分を言い渡された。
 ブラッシュは最後まで自分の責任だと主張してくれていたが、さすがに上官命令を無視した挙句、軍の重要な戦力とされるブラッシュを危険な目に遭わせたのだ。むしろ謹慎処分だけで済んだのが奇跡なくらいであった。
 どうやらブラッシュの会議で愛刀を置いて行ったパフォーマンスが結構効いたらしい。
 愛刀と言えば、彼は他にも武器はあるからと言って笑っていたが、アドヴィンは少し腑に落ちていない様子だった。
 自分のせいなのに、自分を庇ってくれるためなのに。
 そうわかってはいても、その愛刀をたいそう大切に扱う様を誰よりも近くで見ていたアドヴィンにはどうしても納得ができなかった。
 しかしそんなアドヴィンをなだめるように、ブラッシュは優しく言う。

 「アドヴィンが、俺の武器になってくれるんでしょう?」

 「――…っ」

 それは確かにアドヴィンが言ったセリフ。
 しかしそれと同時にあの時触れ合った唇の感触を思い出して、思わず顔に熱が集まった。

 「アドヴィン?」

 「な、なんでもねーから!あれは…その、勢い余ってっていうか…」

 ワタワタと見当違いな弁解を始めるアドヴィンの言葉に、ブラッシュが固まる。

 「…じゃあ、えっと、あの言葉は勢いで言っただけだったの?」

 「は!?あっ…ち、違う!それのことじゃなくて」

 しかしその言葉の先が続かない。
 …恥ずかしくて言えなかった。

 「~~!!ごめん!」

 「アドヴィン!」

 そのまま走り去るアドヴィンに、ブラッシュは茫然とその背中を見つめることしかできなかった。

 *

 「あーもー、絶対誤解させた…」

 その後まともにブラッシュの顔が見れなくなったアドヴィンは、ブラッシュを避けるように医務室に入り浸るようになっていた。
 名前を忘れていた軍医のシュゲナ・マルク先生ともすっかり仲良くなっていまい、今ではブラッシュとのことを相談できる唯一の存在だ。
 彼からの助言は、まず自分の気持ちを整理すること、だった。

 「その様子じゃどうせ自主訓練にも集中できていないんだろう。せっかくの長期休暇なんだ、一度実家に帰るのもいいと思うぞ」

 「長期休暇って…、謹慎なんだけど先生」

 「変わらないだろ。あーぁ、むしろ羨ましいよ。こっちは毎日誰かさんが大した怪我でもないのに通ってくるもんだから忙しくて忙しくて」

 「怪我の様子を見たいから来るようにって言ったのは先生の方じゃん。…それに、前まで暇で暇でしょうがないとか言ってたくせに」

 「休戦中だからな。また再開すりゃ忙しくなんのー」

 そう言って、シュゲナ先生はわざとらしく指を折りながら薬の在庫管理だのカルテ整理だのと業務内容を数え始める。

 「わかったって!帰ればいいんだろ帰れば」

 アドヴィンが折れると、シュゲナ先生は優しく笑った。

 「あぁ、気を付けて帰れよ。…ゆっくりな」

 「……ありがと」

 憎まれ口は先生なりの気遣いであることはわかっている。
 実家に帰るよう提案したのも、ちゃんとアドヴィンのことを考えてのことだ。
 アドヴィンはもう一度シュゲナ先生に礼を言ってから医務室を出て行った。

 その日のうちに軍から帰郷の許可をもらい、荷物をまとめる。
 ブラッシュに挨拶していこうと思ったが、数日前から上層部の任務に出ているらしく寮にはいなかった。
 実家に帰る旨と一緒に、無事を祈っているとメッセージを書き添える。

 「軍医の勧めもあり、休養のため一時実家に帰ります。…か」

 紙に書いた内容を復唱する。
 誤解が解けているとは思えないが、ここで間接的に謝るのは卑怯な気がした。
 早いうちにまた戻ってきて、直接謝ろう。その時までには、自分の気持ちがはっきりしていればいいのだけど。
 アドヴィンは紙をドアの間に挟むと、静かな足どりで寮を出て行った。

 *

 汽笛が鳴った。
 いつの間にか汽車の窓には見慣れた田舎町が映っている。
 ブレーキ音が金切声を上げて、ゆっくりと駅に停車した。

 「っと、降り損ねるところだった」

 アドヴィンは急いでボストンバッグを背負い、汽車から飛び降りた。

 「あ!お兄ちゃん!」

 「お、ティラか」

 駅で待っていたのは妹のオルティラであった。
 アドヴィンと同じ艶やかな緑色の髪を風になびかせてこちらに走ってくる。

 「お兄ちゃんが今日家に帰ってくるって聞いて待ってたんだから!」

 「ぐふぅ…っ!」

 彼女はまばゆい笑顔を湛えて、そのまま兄の腰へ体当たりをキメた。
 アドヴィンはボストンバッグを掛け直し、オルティラを腕に抱き上げてやる。
 やはりこうして家族と会うのは嬉しいものだ。

 「さ、家に帰ろうか」

 「うん!」

 懐かしい道を歩きながら、しばらくはゆっくりできそうだと空を見上げた。
 夕日で染まったオレンジ色の雲が、細かく連なっていた。

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No title
初々しいアドヴィンさん…可愛い…。
ノンケなのにあれれおかしいって悩むアドヴィンさんが可愛すぎてちょっとビクンビクンッ。
これから実家で何があるのか凄く気になります…!!妹さんも可愛い!!!この兄弟全体的に可愛すぎる!!!
From:ネオン URL 2013.11.18. Mon 01:39 [Edit]
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